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【プロの風呂釜洗浄とは】(9)入浴後のお湯は捨ててしまう

 

今回は、数年間のプロの風呂釜洗浄の実施の中で気がついた傾向を一つ述べておきます。それは、ほとんどの方々が、家族全員の入浴が終わっても、お湯を捨てていないことです。

 

そもそもいつでも追い焚きができることから、家族がお風呂に入る時間帯をそろえないで好きなときに入るという家庭が多いようです。そうなると、次の人のためにお湯を捨てないのですね。また洗濯用、災害用など、常時水を保存していることが必要と思っていらっしゃいます。

 

この点に関して、プロの風呂釜洗浄作業者の立場から、基本は家族全員の入浴後に、あるいはその日の最後に入浴した人がお湯を捨ててしまうことをお勧めしています。

 

大きな理由は三つあります。一つ目は、一晩置くと、お風呂が雑菌風呂になってしまうことです。全身浴すると、お風呂につかっている間に、全身をつけ置き洗いする効果が働きますので、皮脂や皮膚についた汚れ等が湯船の中に流れ出します。それらが雑菌の餌になって、一晩置くと雑菌の数が数千倍に増えてしまいます。

 

二つ目は、小さなお子さんがいる家庭の場合の浴槽への転落事故防止です。これは小さなお子さんがいない家庭でも、小さな子供が遊びに来る可能性がある場合にはご注意が必要です。

 

三つ目は、大地震などによって断水した場合、トイレを流すために一定量の生活用水の備蓄が必要と言われてきた通念が変わったからです。大地震の際、上水・下水の配管が破損することがけっこうあるのです。そのためトイレの用件は非常用トイレなどで済ませて、トイレには水を流さないことが最新の常識です。したがって、トイレに流すための水の保存が不要というわけです。もちろん非常用飲料水の保存とは別のお話です。