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【追い焚き配管洗浄入門】(17)追い焚き配管の姿をイメージするために

プロの風呂釜洗浄のお仕事でご家庭を訪問した際、湯船に出てくる汚れがどこの汚れなのか、追い焚き配管といってもそれはどのようなものなのか、わかっているお客様は少ないように思います。

 

そこで、これから何を行おうとしているのか説明する際、まずガス給湯器の設置場所を確認して、お風呂との距離から話を始めています。

 

今回はおさらいとして、そのときに行っている説明を紹介しておきましょう。

 

図のように、追い焚き配管とは、湯船とガス給湯器をつなぐもので、両者の間にお湯を循環させるホースです。ですから、まず、自分の使っている追い炊き風呂(またはエコキュート)において、追い焚き配管がどのくらいの長さになっているか実感していただくことがねらいです。

 

ガス給湯器はガス器具ですので安全のために室外に設置されますが、かつては浴室のすぐ外側にあることが普通でした。ところが近年は、浴室の位置を自由に決めることが当たり前になった結果、ガス給湯器と浴室との間の距離がどんどん長くなっています。最近では普通に10メートルを超えてきました。

 

この変化には、追い焚き配管の材料が金属から合成樹脂へ置き換わったことも寄与してします。樹脂製だと軽いし形状に柔軟性があるので、床下や壁中の長距離の配管に向いています。

 

また樹脂の強度が高まったので、より水圧に耐えられるようになり、水流の速さとホースの細さを競うようになってきました。ガスバーナーの性能に応じて必要になる水量を確保するために、水流を早くすればホースの径を小さくできます。合成樹脂製の追い焚き配管では内径13ミリほど、外径23ミリほどになっています。

 

この追い焚き配管に溜まった汚れが、ある量を超えると、水流によってはがされて浴槽に出てくるわけです。こうして水流が速くなり、汚れがつく内壁の総面積が小さくなると汚れが溜まりにくくなりそうです。ホースの径が小さくなった分は全長が伸びたことで帳消しかもしれませんが。

 

実際、お風呂によっては10年間一度もプロの風呂釜洗浄を実施していないという割に、汚れの総量が少ないことが、追い焚き配管の長さが短い場合には見られることがあります。しかし、長いけれど細いホースのどこがあれだけと思うほど、追い焚き配管が汚れていることが多いです。

 

なお図で、追い焚き配管から浴槽への出口が「循環アダプター」と書いてある箇所にあります。ここを「循環口」と呼んでいます。浴槽と給湯器との間で行われている循環を意味したネーミングですが、ピンと来ないので、当ブログでは「湧かし口」と呼びかえていることが多いです。

 

この循環アダプターには、浴槽から給湯器へさめたお湯を送るためのホースの入口と、給湯器から温められたお湯を浴槽へもどす出口との両方が取り付けられています。図の「ユニットバス貫通金具」と書かれたところで2本に分かれているように、ホースが1本に見えるのは2本を束ねてあるから、もしくは最初から2本並行につながっているからです。

 

図では見えている追い焚き配管ですが、実際は循環アダプターのフィルター(浴槽壁に取り付けられた丸く書かれたところ)を除いて、浴槽の外側、壁中、床下を走っているため一切見えません。見えないところが汚れています、と言う所以です。

 

湯船に浸かりながら追い焚きすると、フィルターの中央からお湯を吸い込み、周辺から吐き出すことが多いので手のひらで感じてみてください。ただし、その際周辺から出てくるお湯は熱いので注意をお願いします。それゆえ吐き出す方を周辺から壁に沿う向きに出しています。

 

(図は、東洋アルチタイト産業株式会社の「風呂・給湯機器配管関連部材総合カタログ Vol.11」から転載)

 

追い焚き配管の形状と材質について書いたブログはこちらです。

 

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