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【プロの追い焚き配管洗浄入門】(6) 追い焚き配管の内部を洗浄する魔法のブラシとは?

 プロの風呂釜洗浄の新しいところは「マイクロバブル」をブラシ代わりに使ったことであることをお伝えしました。では、マイクロバブルのことをなぜ「魔法のブラシ」と呼べるのでしょう。

 

お風呂の追い焚き配管は通常細くて長く、10メートルに及ぶことがあります。その内壁にこびりついて成長し続けている汚れ(バイオフィルム)をはがしていくことは、配管内に「魔法のブラシ」でも入れない限り不可能だと思われていました。そういう状況の下でブラシと同様の働きをしたので、マイクロバブルを魔法のブラシと呼んだのです。

  

では、マイクロバブルはどうして魔法のブラシとして働けるのでしょう。マイクロバブルのバブルとは気泡(泡の粒)です。マイクロとは直径の大きさがマイクロメートルの単位で測るレベルであることを表しています。定義は直径が1~100μm(マイクロメートル)である気泡です。

 

泡は生まれてはまもなく破裂して消えてしまうものですが、このくらい小さくなると水中で一定の時間存在できます。だから、長い追い焚き配管を一周して、再び浴槽に戻ってくることができるのです。

 

 

では、マイクロバブルがどのようにして汚れを取るのでしょうか。追い焚き配管内壁に付着した雑菌が繁殖すると、自らを守る膜(バイオフィルム)を作ります。界面活性剤を含む洗浄剤と、無数のマイクロバブルが協力して、これを壁面から引きはがしていきます。

 

 

まず洗浄剤の成分が汚れに取り付いて、汚れがかたまりとして結合する力を弱める働きをします。そのうえでマイクロバブルの出番となります。

 

微細なマイクロバブルを高密度に発生させた水を作り出して、それを配管内に注ぎ込むと、壁面にこびりついた汚れにぶつかったマイクロバブルは、汚れ(バイオフィルム)の表面に付着します。

 

汚れに付着したマイクロバブルが、配管内の水流に押されて汚れから離れる時、汚れの一部を付着したまま汚れから離れます。このように少しずつ汚れをはがし取っていきます。

 

 

なお、浴槽と追い焚き配管を循環する水流を使って洗浄しますので、汚れを付着したマイクロバブルがもう一度配管に入っていくと思われるかもしれません。ところが、汚れを付着したマイクロバブルは浮力を増すので、浴槽に戻ってきたとき浮き上がってしまうのです。そのため、汚れが付着しないマイクロバブルが主として、追い焚き配管に吸い込まれていきます。

 

浴槽に浮かぶ泡が、追い焚き配管をくぐって出てきた順に湯船表面に端から浮かんで、最初は黒っぽいけれど徐々にきれいになっていく模様を作るのはこのためです。