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【プロの追い焚き配管洗浄入門】(17) バイオフィルムに守られているレジオネラ属菌(新版)

浴室や洗面所、台所などで、ヌルヌルした汚れを見たことがありませんか。浴槽の沸かし口(循環口)から、黒っぽいヌルっとした汚れができ来たらそれはおそらく「バイオフィルム」の破片です。

 

 

レジオネラ属菌は日本のどこにでもいる常在菌で、日本各地で検出されます。公衆浴場や温泉施設、温水プール等で見つかるのは、もちろん定期的な検出作業とその報告が義務付けられているからです。命にかかわるレジオネラ症にかかる原因が、水蒸気に含まれて空気中を漂っている菌を肺に吸い込むことですので、そういう環境を作り出す施設では監視が義務付けられているわけです。

 

また、そういう施設では、湯温を維持するために、お湯を循環させる追い焚きを行なっていることが多いので、追い焚き配管の中にレジオネラ菌が住み着いてしまうとまずい状況になります。レジオネラ属菌が追い焚き配管内に住み着くために自ら作る住処が「バイオフィルム」です。

 

追い焚き配管内をお湯が高速で流れるので、配管内部に汚れが残ることはないだろうとの予想ははずれたのでした。ポンプを滑らかに稼働させるため、い焚き停止中でも追い焚き配管内にはある程度の水分が残っている状態にしてあるので、雑菌が繁殖し「バイオフィルム」を作る時間は充分にあります。

 

追い焚きが止まっている間に、追い焚き配管内で雑菌は汚れを栄養源にしながらそこで繁殖します。雑菌が細胞分裂を繰り返して増殖すると、やがてはそれを包み込むようにバイオフィルムと呼ばれる膜を作ります。この膜の内側にひそむことによって、追い焚きして流速が早くなっても壁からはがれず耐えてしまうのです。

 

そして、最もまずい事態がそのバイオフィルムに守られる雑菌がレジオネラ属菌である場合です。レジオネラ属菌は、他の雑菌が造ったバイオフィルムにもぐりこむ能力を持っているのです。そうなってしまうとバイオフィルムをはがしてしまうしか、レジオネラ属菌を除去する手立てがなくなります。

 

ところが、バイオフィルムは市販の洗浄剤を流し込んだだけでははがれてくれません。その結果、ガス給湯器追い焚き風呂、エコジョーズやエコキュートで雑菌と同居することになってしまっているのです。そこで、「プロの追い焚き配管洗浄」の出番となります。

 

このように流れの早い配管の内壁に汚れが付着できるのは、バイオイルムを作ることができる、所謂生きた汚れだからです。汚れの正体=雑菌と見ると「プロの追い焚き配管洗浄の本質は「除菌サービス」なのです。