今一度、お風呂の雑菌の中では最も危険なレジオネラ属菌が引き起こすレジオネラ症について、厚生労働省のサイトを使って、おさらいしておきましょう。
レジオネラ属菌は、日本中どこにでもいる菌(常在菌)です。しかし悪さをするのは、繁殖させてしまったときだけで、通常はおとなしくしています。一般家屋内で唯一繁殖に適した環境になっているのが、風呂/エコキュートの追い炊き配管内というわけです。
なぜ追い焚き配管内が雑菌の繁殖に適しているのか
入浴施設では、常に入浴者の体表等に由来する有機物質が湯船に補給されているので、これらを栄養源として増殖する微生物(雑菌、アメーバ等)が侵入すると、浄化器具のろ材表面はもちろん、浴槽や追い焚き配管の内壁、配管の継ぎ手などに定着して増殖し、バイオフィルム(生物膜)を形成します。レジオネラ属菌はそれらアメーバを宿主として増殖します。
バイオフィルムの中では薬剤(塩素剤等の殺菌剤)から保護されます。また、レジオネラ属菌が宿主とするアメーバは、殺菌剤に対して抵抗性を示すようになるものもあるので、浴槽水を単に塩素剤等で消毒しただけでは不十分です。バイオフィルムを監視(ぬるっとしたつぶが循環口から出てくる)し、その除去を行うことが必要です。また、感染に対する抵抗力が高くない高齢者を対象とする浴槽に設置している追い焚き配管には、十分な管理が必要です。
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繁殖したレジオネラ属菌が空気中に出てくるのはエアロゾルが主な原因
レジオネラ肺炎は、レジオネラ属菌を包んだ直径5μm以下のエアロゾル(目に見えないほどの細かな水滴)を吸入することにより起こる気道感染症です。レジオネラ属菌は本来、土壌、河川、湖沼などの自然環境に生息しており、アメーバに寄生して増殖するので、アメーバが住み着く環境に出会うと感染症を引き起こすほどの数に増殖することがあります。アメーバが住み着く環境が家庭では、追い焚き風呂の配管内というわけです。
レジオネラ感染症は基本的に肺炎ですが、汚染水の直接接触で外傷が化膿し、皮膚膿瘍になることがあります。患者との接触によって感染したという報告はありませんので、患者を隔離する必要はありません。
レジオネラ肺炎の潜伏期間は2~10日です。全身倦怠感、頭痛、筋肉痛などの症状に始まり、乾いた咳、痰、高熱、悪寒、胸痛が出現します。腹痛や下痢等の消化器症状や、傾眠、四肢の振せんなどの中枢神経系の症状がみられるのも特徴です。有効な抗菌薬治療がなされないと、致死率は60~70%に増加しますが、適切な治療がされれば致死率は7%程度になります。
一方軽い症状ですむ場合(ポンティアック熱)があります。こちらの潜伏期間は1~2日で、発熱を主症状とし、全身倦怠感、悪寒、頭痛、筋肉痛などを伴いますが、肺炎症状はみられません。2~5日程度で自然治癒します。