
浴室や洗面所、台所などの排水口でヌルヌルしたモノを見たことがありませんか。また浴槽の沸かし口(循環口)から黒っぽいヌルっとした汚れができ来たらそれも含めて、おそらく「バイオフィルム」の破片です。今回はバイオフィルムと、感染症を引き起こすレジオネラ属菌との関係を説明します。
レジオネラ属菌は日本のどこにでもいる、いわゆる常在菌です。命にかかわるレジオネラ症にかかる原因が、水蒸気に含まれて空気中を漂っているレジオネラ属菌を肺に吸い込むことです。公衆浴場や温泉施設、温水プール等、そういう環境を作り出す施設では監視が義務付けられています。
全国のレジオネラ症感染者数の毎月の推移が、公益社団法人全国水利用設備環境衛生協会のサイトにて報告されております。年々の増加傾向が続いてきましたが、2020年7月までの推移をみると、2019年に比べて2020の方が下回っています。これはレジオネラ属菌への対策効果がでてきたというより、コロナ感染症の影響で公衆浴場や温泉施設に出かける人の数が減ったことが原因なのかもしれません。
そういう施設では不特定多数の方が利用するため、レジオネラ属菌が持ち込まれる可能性は家庭風呂に比べて高くなります。また、湯温を維持するために、常時追い焚きを行なっていることが多いので、追い焚き配管の中にレジオネラ菌が住み着いてしまうとレジオネラ感染症の危険が高まります。
実はレジオネラ属菌が追い焚き配管内に住み着くために「バイオフィルム」が寄与していることがよくあります。レジオネラ属菌はもともと、他の雑菌が作ったバイオフィルムの膜の中にもぐりこんで寄生する能力を持っています。そうなってしまうとバイオフィルムをはがしてしまう洗浄方法の必要に迫られます。
したがって、感染症の直接の原因にはならなくても、レジオネラ属菌が寄生するバイオフィルムを作る雑菌を除去することも課題となります。この面から見ると「プロの風呂釜洗浄」の本質は、追い焚き配管内の雑菌を除去する「除菌サービス」なのです。